最近、映画の続編では度肝を抜かれることが度々あります。
今回の「ランボー」続編がまさにそれ。
ちょっと前に書いた「スカイライン」続編よりビックリでした。
何が驚きかっていうと、リメイクではなく正統な「続編」として位置付けられていて、主役も変わらずあのシルベスター・スタローンのままだということ。
一方で、ランボーは意外と「奥の深い」映画であることはあまり知られていませんよね。
その辺にも目配りしつつ、御年72歳のスタローンが主演する「ランボー」続編がどうなるのか、最新情報を探ってみました。
◇目次
「ランボー」シリーズを語る上で知っておきたい、時代背景を反映したストーリー
アクション映画好きで知らない人はいないであろう「ランボー」。
第1作の公開は今を遡ること30年以上、1982年です。
もともとは小説を原作としていたこの映画、最初はベトナム戦争の後遺症に苦しむアメリカ社会の実像を切り取った社会派作品でした。
とはいえ小学生くらいのときに初めて見たときはただのアクション映画としか思わず、ランボーの人間ばなれした戦闘能力だけがやたら記憶に残ったものです。
今改めて見返してみると歴史の波に翻弄され、政治の道具となって悲惨な経験をしてきた個人の嘆き、悲しみが凝縮された哀愁漂う作品だったことがよくわかりますね。
もしスタローンをただの筋肉アクション俳優だと思っている人がいたら、今からでも是非一度第1作を見てほしいと思います。
ラスト10分でもらい泣きすること必至ですよ(経験者談)。
その後、ランボーの作風はベトナムにいる捕虜奪還を通じてベトナム戦争のトラウマ克服と「強いアメリカ」の復権を裏のテーマとした2作目の「ランボー/怒りの脱出」、そして米ソ冷戦を意識した「ランボー3/怒りのアフガン」へと続いていきます。
ちなみにですが、ランボーというと思い出すのがM60を持って上半身裸のスタローンの写真です。
さっきのDVDのジャケットにもなってるこれですね。
これに影響されて同様のアクション映画が大量生産されたのだとか。
ところが、1988年の「ランボー3/怒りのアフガン公開」の後、冷戦が終わって平和になった世界を見届けたかのように我らがジョン・ランボーは我々の前から姿を消してしまいました。
ランボー復活と、最新作のストーリーに至る紆余曲折
20年の沈黙を破ってランボーの4作目である「ランボー/最後の戦場」が公開となったのが今から10年ほど前、2008年です。
前作ではミャンマー(タイ北部、となっている場合もある)を舞台に、少数民族を弾圧し、人道援助に来たNGOを捕らえる軍事政権につかまってしまったNGOの奪還を図るというストーリーでした。
ここまででお分かりの通り、ランボーシリーズにはそれぞれの時代背景が色濃く反映していたのです。
アクション映画の衣をまとってはいるものの、その時々のアメリカ社会が漠然と不安に思っていること、克服しなければいけないと思っていることが「ランボー」のストーリーに現れてくるのでした。
そして、2019年。
いよいよ5作目となる「ランボー」シリーズの続編が製作されることとなったのです。
ところが、時の流れで上記のようなメッセージ性が薄まってしまったのか、ここに至るまで脚本製作は二転三転した模様。
ざっと分かるだけでも以下のような話が上がっていました。
・ランボーが遺伝子操作された兵士と戦う
・まったく違う俳優を起用して第1作を現代風にする
・TVシリーズ化する
明らかに、これじゃ今までとはまったく毛色が変わってしまいますよね。
おかげで一時期は「ランボー5は99%ありえない」と言う話まで出る始末でした。
そういう意味で、これまでのシリーズの正統な続編として映画製作の運びとなったことは本当に良かったと思います。
製作決定を受けて、スタローンがインスタに写真を2枚アップしています。
撮影は9月1日からスタートで、ロンドン、カナリー諸島、ブルガリアなどで行われる予定ということです。
では、今回ランボーがまた立ち上がるその背景は何なのでしょうか?
ランボー5作目のストーリーと、その現代的な意味とは?
さて、やっとランボー最新作のストーリーに話が及ぶわけですが、実は現時点では大まかなプロットしか明らかになっていません。
それが以下。
【ランボー5のストーリー】
ランボーはアリゾナの牧場にいて、PTSDの後遺症に苦しみながらもなんとか生計を立てている。
牧場主で長年の友人でもあるマリアから、娘がメキシコに行ったきり帰ってこないと相談を受け、ランボーはマリアと共にメキシコに赴くことになる。
そこで目にするのは、メキシコにはびこる人身売買組織の非道ぶりだった。
メキシコで出会ったジャーナリストを仲間に加え、ランボーは誘拐されたマリアの娘を奪い返し、人身売買組織を壊滅させるための戦いに身を投じる・・・。
(出典:https://www.screendaily.com/sylvester-stallone-lining-up-rambo-v-exclusive/5128882.article)
ということで、今回の舞台はメキシコ。
メキシコと言うとどうしても思い出すのが、トランプ大統領が就任前から作ると言ってきかない国境の壁です。
もしかしたらランボーの最新作は今のアメリカが抱える、内向きの姿勢だったり他者への不寛容だったりといったテーマに切り込んでいくのではないかな、という気がしています。
まとめ
今年で72歳のシルベスター・スタローンが今一度「ランボー」として戦う第5作。
ただのアクション映画と思われがちな「ランボー」シリーズは、実はアメリカという国の視線の先に何が映っているのかを教えてくれる映画でもあるのでした。
日本での公開は未定ですが、第5作から見えるアメリカの実像はどういうものなのか。
そういう観点でランボー最新作を観るのもひとつの楽しみ方ではないかな、と思います。