皆さんこんにちは。
今、日本はインフレですか、それともデフレですか?と訊かれたらどっちと答えるでしょうか?
これ、よくある質問ですけど、正直なところ私にはよくわかりません・・・。
アベノミクスで物価上昇の目標値は2%と言われていますが、体感的にそこまででもないですよね。かたや給料も上がったかと言われると、これまたよくわかりませんね。
そこで、せっかくなので自分でちょっと調べてみました。
ただ、ベンチマークが何もないとトレンドの比較のしようもないので、戦後から90年代中盤までの貴重なデータがまとまっている戦後値段史年表 (朝日文庫)を使っています。
結論から言うと、インフレかデフレか分かりづらい原因は、値段の動きというよりは、世の中の動きによるところが大きいようです。
◇目次
調査のやり方について
まずは簡単に、こんな感じでやってみた、という説明です。
・「戦後値段史年表」に記載の最終年との対比。
・できる限り「戦後値段史年表」が使ったデータと同じもの・同じ出典を使っての比較。
・2018年の価格は必要に応じ、店頭に加えAmazon等も見た上での一般的な数値を掲載(価格のバラつきがあるものも多数あるが、あえてひとつの価格を提示しているところもあり)。
・トレンドをみるため、年平均成長率を参考として算出。
調査結果はこんな感じでした
それではここから、調査結果を見ていきましょう。
なお、調査は4つのカテゴリーに分けて調べています。
- 食べ物・飲み物
- 日用品
- サービス
- 給与
まずは最も身近な、食料品からいってみましょうか。
カテゴリーその1:食べ物・飲み物
ここからはカテゴリーごとに結果を載せていきます。
主な品目をカテゴリーごとに抽出して調べた結果を列挙していき、ちょっと考察も加えました。
1995年の価格:600円
2018年の価格:750円
年平均成長率:0.93%
※1995年、2018年とも、たいめいけん日本橋店の価格。
1993年の価格:2,060円
2018年の価格:3,060円(※)
年平均成長率:1.66%
※「エクリチュール 10㎏」という商品の価格。商品・取り扱う店により相当バラつきあり。
1993年の価格:239円
2018年の価格:158円(※)
年平均成長率:-1.58%
※SEIYUネットスーパーでの、PB商品の価格。
1993年の価格:3,845円
2018年の価格:3,140円~5,560円(※)
年平均成長率:バラつき大きいので算出せず
※Amazonにて主要商品を確認。銘柄によるバラつきが大きい。
1995年の価格:330円
2018年の価格:297円(※)
年平均成長率:-0.44%
※アサヒスーパードライ1本ばら売りの価格。(SEIYUネットスーパー)
◇ここまでのまとめ
食料品はざっくり、高くなったものと安くなったものが混在。
サンプルが少ない中ではありますが、どちらかというと流通経路が合理化されたり、選択肢が増えたものは安くなっている傾向があるのではないかという気がします。
カテゴリーその2:日用品・本など
1995年の価格:40円
2018年の価格:30円~70円程度(※)
年平均成長率:バラつき大きいので算出せず
※三菱鉛筆UNIシリーズ。グレードによって異なる。
1994年の価格:380円
2018年の価格:236円(※)
年平均成長率:-1.89%
※楽天市場で確認。メーカーの希望小売価格は現在も380円で変わらず。
1995年の価格:160円
2018年の価格:149円(2個)(※)
年平均成長率:-0.3%
※白熱電球を価格.comで確認。バラつきはあるが、低価格帯のものを例示として採用。LEDはもっと高い。
1995年の価格:4,300円~5,500円
2018年の価格:873円~4,427円(※)
年平均成長率:バラつきが大きいので算出せず
※セイコーの目覚まし時計で比較。Amazonに出ていたものの価格帯を採用した。
◇ここまでのまとめ
日用品は種類が増えたり、内容量が変わったりで一律の比較が困難なものが多かったです・・・。
結局、グレードによるところが大きい印象。安いものはとことん安くなっていますね。特に100円ショップで買えるようなものはそう。
カテゴリーその3:サービス
1995年の価格:447,600円
2018年の価格:535,800円(※)
年平均成長率:0.75%
※値段史年表では「東京大学の授業料」となっています。ちなみに、平成17年以降国立大学の学費は上がっていません。
1995年の価格:140円
2018年の価格:170円(※)
年平均成長率:0.81%
※ICカードだと165円なのでもう少し平均成長率は下がります。
1994年の価格:340円
2018年の価格:460円(※)
年平均成長率:1.22%
※東京都知事告示料金。
◇ここまでのまとめ
サービスは概して少しずつ値段が上がっている印象です。とはいえ、ここには挙げていませんが理髪店なんかは1,000円カットもあるし、劇的に下がっていますよね。業態の革新が進んだところには価格破壊も起きている、といったところでしょうか。
カテゴリーその4:給与
1994年の額:180,500円
2018年の額:181,200円(※)
年平均成長率:0.02%
※今の国家公務員I種(大卒)の初任給です。ちなみに院卒だと207,900円です。
1994年の額:174,000円
2018年の額:205,000円(※)
年平均成長率:0.66%
※2018年の初任給は「基幹職」(大卒)のもの。なお、第一勧業銀行のデータを年表で使っていたので、2018年はみずほ銀行のものを採用しました。
◇ここまでのまとめ
公務員と銀行員だけなので、全体の傾向を推定するには不十分なデータですが、25年あってこの伸び率。ちょっと少ないような。
ちなみに、今回の調査からは離れてしまいますが、サラリーマンの給与全体の傾向は「民間給与実態統計調査」でわかります。
それによると、1995年の平均給与は457.2万円。一方最新のデータ(2016年)は421.6万円でした。それこそインフレを考慮しない見た目の数値だけの比較ではありますが、年平均成長率でいうとー0.34%です。
まとめ
そもそも、物価の比較には消費者物価指数という便利な指標がありますが、あえてそれを使わずに個別の品目を追ってみることで、肌感覚に近いところでモノやサービスの値段の動きを追ってみました。
どうも、物価が上がった、下がったというのは、モノやサービスそれ自体の動きというよりは、
・同じモノであっても、売る「ルート」が変わったかどうか
・特にサービスは昔からあった業態を壊す新しい「売り方」ができたかどうか
・技術革新が起きたかどうか
の3つに左右されていると言えるようですね。
今回使った「戦後値段史年表」の項目について、さすがに全部は追跡調査できませんでしたが、ほかにもいろいろなモノやサービスの値段の歴史が載っていて、パラパラ眺めるだけでも面白いですよ。
※ちょっとここで書くとGoogle先生に怒られそうなものの値段まで調査されてますので、気になる人はぜひどうぞ笑。
本日は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました!
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