皆さんこんにちは。
今年は仮想通貨元年ということで、ものすごい盛り上がりぶりですね。
そんな中、仮想通貨の取り扱いについて国税庁からこんな通知が出ていました。読んだことありますか?
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf
長々と書いてあるので、読む気がなくなりますよね。
ですが、ちゃんとポイントだけは押さえておかないと、せっかく稼いだ利益が水の泡になる、と言われたらどうでしょう。
それどころか、最悪破産の可能性すらあります。
この記事を読んでいただければ、税金について知らないことの怖さと、ではどうすればいいか?ということがお分かりいただけると思います。
あなたがお持ちの仮想通貨を利益確定する前に、もう5分だけお付き合いください。
(待てないよ!という方はこちらから仮想通貨に強い税理士に相談を。)
◇目次
仮想通貨に潜む、総合課税のワナ
なんとなく、仮想通貨と税金というテーマが頭のどこかにひっかかっていて、こんなツイートをしていました。
遠足は家に着くまでが遠足。
投資は税引き後の手取りが口座に記録されるまでが投資。そう考えると、投資期間中の税制改正は、遠足からの帰りの電車でテロに遭うようなもんだ。
— MASUDA@戦略系ブロガー (@MASUDAFGTR1) 2017年12月7日
正確に言うと、「投資は税金を払い終わった後の口座の残額を見るまでが投資」でしょうか。
実は少し前から、仮想通貨の利益に伴う税金は、「総合課税」だということが国税庁から正式に通知が出ています。まさに先ほどの文書ですね。
よく、仮想通貨と株式、FXなんかを同じように考えている人がいますが、利益に対する課税のしかたは全く違います。
ポイントは、
- 株式での利益は源泉分離課税。株式の利益だけに対して課税される。
- 仮想通貨は総合課税。所得と一緒にされて、その金額全体に課税される。
という2点。ここが、仮想通貨の税金に関する一番重要な論点です。
源泉分離課税になる株式は、税金が分かりやすい
例として、年収600万円の人が、なけなしの100万円を株式や仮想通貨に突っ込んで1,500万円になった場合をそれぞれ考えてみましょう。
いずれも利益は1,400万円(1,500万-100万)ですね。
株式の場合であれば、1,400万円の利益に対して所得税15%、住民税5%、さらに0.315%の復興特別所得税がかかってきて、合計20.315%が課税されます。
ですので、税引き後の利益はざっくり1,400万円の8割、約1,120万円。これが手元に残るわけです。
しかも、もう納税が終わっているので、これ以上の心配は無用。
仮想通貨で総合課税されたときにあなたに起きること
ところが、仮想通貨を利益確定して円に換えるとまったく違うことが起きます。
先ほども出てきた「総合課税」というのがキーポイント。
総合課税というのは、あなたの1年間の所得をすべて合算し、それに対して課税するよ、という意味です。
所得には給与所得や事業所得など10種類ほどありますが、仮想通貨の値上がり益は「雑所得」扱い。
(参考:ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係)
ですので、上の例で言うと、給与所得を含めた1,400+600=2,000万円の所得に対して課税されるのです!
ちなみに、所得税の速算表は以下のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(出典:国税庁HP)
さらに、住民税が10%加わります。
※住民税の実際の計算は、家族構成や各種控除により変わるので、あくまで目安です。
どのくらい税金が上がるのか?
仮想通貨をはじめる前のこの人の所得税は、表にしたがうと以下のとおり。
※他の控除や所得などは計算の都合上いったん無視しています。
ですが、仮想通貨で利益が出た場合、税金は以下のとおり大きく膨らみます。
つまり、所得税だけで差額はなんと4,460,000円!
一方、住民税のほうはというと、大まかにいって仮想通貨による利益の10%くらいがそのまま税金で乗っかってきます。
なので、さらに140万円くらいの増税です。
したがってトータルで約600万円も税金が増えるという恐ろしい結果に。
こんなに税額が変わるというのを見越していなければ、あとで足元をすくわれてしまうことになりかねませんね。
仮想通貨の税金確定と支払いのタイミングも大事!
もうひとつ、税金に関するポイントは、税金がかかる課税所得が確定してから実際に税金を支払うまでにかなりタイムラグがあること。
通常、税金のベースになる所得は12月末に確定し、3月までに確定申告。支払いは6月頃。
このタイミングを知らないと恐ろしいことに・・・。
先ほどの例で想定してみましょう。
仮に1,400万円の利益が出たとして、それを納税前に全部使ってしまったとしたらどうでしょうか。
たとえば、高級車を買ったとか、仮想通貨の利益を住宅購入の頭金にしてしまったとか・・・。
しかし、忘れたころに昨年より約600万円も高い税金の請求が来ることになります。
こんな大金、普通の人に払えるでしょうか?
もし、結局払えないなんていうことになったら、せっかく買った家や車を税金のために処分せざるを得なくなります。
その結果、あんなに儲けたはずなのに残ったのは借金だけ・・・なんてことにもなりかねません。
このくらいの額なら、がんばれば何とか工面できるかもしれません。
ですが、きっと今は何千万円と儲けている人もいるはず。その人達に翌年襲い掛かる税金の額は、想像するだけで恐ろしいです。
仮想通貨で破産しないためにはどうすればいいか?
せっかく大儲けできたのに、こんな未来が待っているなんて。何か手はないものでしょうか。
仮想通貨に対する税金については、知識のある税理士に早いうちから相談するのが一番です。
というか、それ以外に方法はありません。
間違っても、納税しなくたってバレない、なんて思ってはいけません!
これは声を大にして言わせてください。
今どき、マイナンバーを使えば理論上税金の未納なんてすぐ分かってしまいます。
(表向き、マイナンバーの情報はごく一部の限られた目的にしか使用してはいけないことになっていますけど)
税務署はしばらく高額滞納者を泳がせておいて、たっぷり重加算税が乗った後で一網打尽、なんてこともあるそうですから、間違っても逃げ切れるなんて思わないほうがいいですよ。
それに、そもそも仮想通貨の特徴を思い出していただきたいのですが、なんといってもブロックチェーンによって取引記録がどこまでもさかのぼって確認できることがメリットでした。
なので、脱税なんてそもそも仕組み上できないわけです。
(そうでなければ、もはやブロックチェーンではないですよね?)
・・・で、いざ税務署から電話がかかってきたとき、あなたは一人で戦えますか?
脱税と節税はまったく別のもの。
法律に則って正しく納税するためにも、税理士のサポートは必須です。
特に仮想通貨元年と言われる今年から来年にかけては、仮想通貨の課税関係に詳しい税理士さんの需要がひっ迫するかもしれないので、先に相談だけでもしておいたほうがいいですよ。
顧問料はかかりますが、上記したような悲惨な結果になるよりははるかにマシです。
あるいは、今税理士がいても、イマイチ仮想通貨関連の税務処理は頼りない・・・という場合も、一度仮想通貨に強い税理士を探してみてもいいかもしれません。
まとめ
なぜ日本政府が突如しれっと、仮想通貨は総合課税ですよ、とだけ言ったか、考えたことはありますか?
今これだけ仮想通貨に流れ込んだお金は、今までみんながどこかに貯めこんでいたものです。
一方、税収が伸び悩む中、政府としてはせっかく世に出てきたそのお金に対して課税したいのは明らか。
仮想通貨ブームは、実は日本政府にとっても千載一遇の機会だった、というわけなのです。
そして、もはや総合課税だと言われてしまった以上はそれがルール。知らなかったでは済まされません。
ルールの範囲内で防衛策を考えるのが、現時点におけるベストの方法です。
投資は出口が大事。税金の影響を考えた上で、最後にきっちり手元にお金が残る運用を!
本日は以上です。最後までお読みいただきどうもありがとうございました!
コメントを残す