夏休みってホント困りますよね、宿題。
とりわけ毎年全国の小学生をメンタル崩壊寸前に追い込むのが
「読書感想文」
ではないでしょうか。
小学生の子どもをお持ちの親御さんも、手伝おうにもあまりに面倒なので、できれば避けたいと思っているのでは?
そこで、この記事ではそんな全国の悩める小学生とその親御さんのために、
「たった半日で読書感想文をそれなりに書き上げてしまうコツ」を、例文つきでお届けしたいと思います。
この記事には今年(2019年)の課題図書とその感想文の文例を載せています。
ブログと一緒で、さすがに丸パクリはご遠慮くださいね!
あくまで考え方の一例として記載しておりますので、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
※自由研究についても記事をご用意しておりますので併せてどうぞ。
◇目次
読書感想文の字数制限と課題図書のルールを知ろう
すでにご存じの方も多いでしょうから、ここはさらっといきますね。
小学生の読書感想文は課題図書が決まっています。本屋さんにいけばずらっと並んでいますね。
ちなみに一覧は下のリンクから確認できます。
字数制限は以下のとおり。
- 低学年(1,2年) 800字
- 中学年(3,4年)1200字
- 高学年(5,6年)1200字
あれ、我々のころよりちょっと減った?と思うのは気のせいでしょうか。
高学年は5枚だった記憶があるんですけども。
あと、読書感想文には大事なゲームのルールが2つあります。
◇ 題名、学校名、氏名は字数に数えません。
1つ目に注目。改行のための空白は字数カウントです。
なので、うまくこれを使えば字数が稼げますね。
段落はおそらく低学年向けなら3つか4つ、中学年以上は4つか5つはできるでしょう。
なので、実質的には何十字か負担は減ります。
子どもは単純に、800字とか1,200字という数に圧倒されてしまうので、まずはそこのストレスを軽減しましょう。
また、最後2,3行余らせても怒られないので、結果字数の負担は5%から10%は薄まります。
ですので、実質的には低学年で600字から700字、中学年以降でも1,000字強あれば大丈夫。
無理なくできる、読書感想文の書き方のポイント3つ
「読む」というより「ストーリーを知る」ことからはじめる
当然ですが、最初にすべきことはとにかく「課題図書のストーリーを把握する」ことです。
かといって、なかなか小学生が1冊をきっちり読み通すのもタイヘンですよね。
それに、読書感想文は別に内容を理解したかどうかのテストではありません。
ですので、ここは割り切って、あらすじだけ先に押さえましょう。
「図書名 あらすじ」でGoogle検索しても出てきますから、それに目を通すとラクです。
また、最近では読み聞かせをYouTubeにアップしている人もいます。ですので、本のタイトルでYouTubeも検索しておくといいですよ。
これで中身はほぼ分かるのですが、一応本は必ず手元に置いておきましょう。
読書感想文のコアになる「感想」が出てこない理由と対処法
読書感想文のコアになるのは、これまた当たり前ですが「感想」ですよね。
読書感想文が書けない最大の理由が、「特に何も感じないから書きようもない」というパターン。
なぜこうなってしまうか、考えてみたことはありますでしょうか?
その理由は、
「最初から作者に迎合してしまっているから、感想が生まれない」
ということです。
作者の言っていることを素直にふんふんと読んでいるだけでは、自分の感想なんて思いつかなくて当たり前。
そういう素直な小学生たちにおススメの方法は
最初から、思いっきり否定的な視点で読む
ことです。これなら立場が明確。
要は
- 「この本、どっからどうやって突っ込んだろか」
- 「作者の言ってること、マジ意味わからん」
という非常にかわいくないアプローチを取ればいいのです。
まずはこうやって課題図書の突っ込みどころを探してみてください。
どだい、課題図書なんて
「何となくこう読んでほしい」「これを言ってほしい」
みたいなのが見え隠れしてるじゃないですか。
その気持ち悪さを徹底的に突きましょう。
理想的な書き方としては、読んでて特に違和感を感じたところを書き出すか線を引くなどしておくといいです。
で、その横に「何が気に入らないのか」を列挙します。
このメモの数にはそれほどこだわらなくて結構です。
いくつか気になるところが出てきたら、共通点を探して、特に心に引っかかったポイントをまとめてみましょう。
するとあら不思議。それが「感想」のベースになるのです!
否定から肯定の「感想の振れ幅」を意識する
作者の意図をあえて否定して感想のベースを作ったら、あとは
「さすがにこれは否定できないね」とか、「ここはまあ賛成」
とかいう点を1つ2つ拾っておきます。
これもちょっとメモしておいて、否定から入った感想を出し切った段階で少しそこに触れます。
そうすると、今度は何となく「筆者と会話してる感」が出てきます。
実はこの方法、最初に強い否定から入っているだけに、普通のことを言っていても読み手の印象がグッとよくなるというメリットもあるんですよ。
読書感想文の文例公開!ホントに時間ない方はここからどうぞ。
では、低学年向けから例文を載せます。時間の都合上、それぞれ1冊ずつにしました。
ご要望にお応えして、今年からは最後まで書ききったものを載せています。
低学年向け:魔女ののろいアメ
【文例】
わたし(ぼく)は、こののろいアメがあったら、まずおねえちゃんではなくてお母さんに食べさせると思います。
なぜかというと、お母さんはサキとおねえちゃんがなかよくないことを知っているのに何もしないからです。 あと、サキに15さつも本をとしょかんにかえしにいかせるのはひどいと思います。 でも、もしのろいアメを食べてお母さんが一日ねてしまったらごはんをつくってくれなくなったり、そうじもせんたくもしてもらえなくなるのでどうしようかなとも思います。 そのせいでまたべつのおてつだいをさせられたらもっといやだなあとも思いました。
おねえちゃんにもいろいろいやなところがあったけど、ほかにいいところもあるのでのろいアメを食べさせなかったのはよかったと思います。 もしサキがおねえちゃんにアメを食べさせていたら、きっとおねえちゃんにしかえしされるからです。 サキはおねえちゃんのいいところを思いついたからよかったけど、もしのろいアメを食べさせてしまったらおねえちゃんはもうゆるしてくれないと思います。 しかもおねえちゃんのほうがいろいろなことをいえるので、のろいがもっとひどくなると思うのでこわいです。
のろいアメはあったらいいと思うし、いやなことがあったらつかってみたいけど、じぶんがこまったり、あとからしかえしされたりするのでやっぱりやめたほうがいいかなと思いました。 (570字前後)
【ポイント】
この本のメッセージは「人にはいいところもいやなところもある」です。
なのですが、そこをあえて外して、
「力のないものは、力のあるものに無闇に反抗するとかえって自分の首を絞める」
という裏テーマ(?)を語る文章にしています。
中学年向け:子ぶたのトリュフ
【例文】
この本を読んで、たぶんジャスミンはすごく運がいい子なのだろうという気がしました。
まず、ジャスミンが生まれたばかりの子ぶたのトリュフを助けてちゃんと育てられたことがめずらしいと思います。 ふつうはカーターさんの言うとおり、弱いぶたはすぐに死んでしまうと思います。 なのに、動物のことにくわしくないジャスミンがトリュフをちゃんと育てられたのはほんとうに運がいいと思います。
わたし(ぼく)も、トリュフを助けたいとは思うけど自分にできるかどうかわからないので、もしかしたら助けないかもしれないと思いました。 ジャスミンはそんなことを考えなかったのかきいてみたいです。 わたし(ぼく)はどちらかというとうまくいかなかったらどうしようと思ってしまうので、自分のせいでトリュフが死んでしまうかもしれないと考えてしまいます。
それに、カーターさんもお父さんもお母さんも、ジャスミンがトリュフを飼うことをゆるしてくれたのも運がいいと思います。 もしかしたら、ジャスミンのように何も考えないほうがいろいろとうまくいくのかなと思いました。
あと、トリュフが大きくなって、いなくなったモルモットをさがすお手伝いをしたので、役にたつからぶたは飼ってもいいと言われたのに、ほかのぶたは殺して食べるとか、勝手にわたしたちがそんなことを決めていいのかなと思います。 もしかしたら他のぶたもトリュフと同じことができたかもしれないのに、トリュフ以外のぶたは市場に売られていってしまったのでかわいそうです。 ジャスミンも市場にトリュフが売られてしまうのはいやみたいですが、じゃあ他のぶたは別にどうなってもいいのかな、とふしぎです。
もしトリュフがモルモットをうまく見つけられなかったら、やっぱりトリュフもほかのぶたと同じように市場に売られてしまったのかもしれないな、と思うとちょっとこわい気がしました。 それに、モルモットをあずけてくれたトムにもどうやってあやまったらいいかわからないし、お父さんやお母さんにもきっとものすごく怒られたと思います。
やっぱり、ジャスミンは何も考えていないけど、運がいい子なのかなと思いました。(880字前後)
【ポイント】
この本の言いたいことはおそらく、
「自分でいろいろと創意工夫し、チャレンジするのはいいことだ」
みたいなことなのですが、まずそこをサラリとかわすところから入ります。
大人が読んでも、ちょっと結論の押し付けが気になるところではないでしょうか?
こういう場合は徹底抗戦してもいいと思います笑
ここではまず主人公のジャスミンは「単に運がいいだけ」と切り捨てています。
返す刀で、いわゆる陽キャであるジャスミンの盲点をつく内容にもなっています。
高学年向け:かべのむこうになにがある?
【例文】
「ほんとうのものをみるゆうきがあればかべはきえる。ぜんぶきえたあとにはきっとすばらしいせかいがあるはずだよ」
これほど無責任な物言いをわたし(ぼく)は他に知らない。 たしかに「かべ」は消えるだろうけど、その後起きることにだれが責任をとれるというのだろうか?
この手の話は最近とても多い。
「自分の限界を自分で決めてはいけない」 「自分の人生は自分でつかみとろう」 「挑戦すれば夢はかなう」 などなど。
ホントかよ、と思う。
中にはそれでうまくいく人もいるだろうけど、それはほんの少数だ。 それでみんな成功するなら苦労しない。それこそ学校もいらないだろう。 こうやって、やれ挑戦だ成長だ夢だと子どもを駆り立てておいて、それに伴うリスクをぜんぶ子どもに負わせていったい何がしたいのか、わたし(ぼく)にはまったくわからない。
今、日本には100万人くらい小学生がいるらしいけど、とりあえずそのうちの1パーセントでもうまくいけばいい、あとはどうでもいい、と大人は思っているのだろうか。 自分たちは「かべ」に囲まれて平和に暮らしているというのに、まったくもって不公平だ。 この考え方はつきつめていくと戦争にも通じるような、とても危険なものだと思う。
そもそも、「ほんとうのゆうき」とやらを出すタイミングは自分で決めたい。自分の人生がかかっているのだから当然のことだ。 それに、勇気はただ出せばいいってものじゃない。 不良に注意したらナイフで刺されて死んだ、といったニュースを聞いたのは一回や二回ではなかったと思うし、そこまでいかなくても勇気をだして何かをやったらかえってみんなに煙たがられるなんてこともいっぱいある。 勇気を出すにはちゃんと準備してからじゃないとうまくいくものもいかなくなるし、他人に出すタイミングを指図されるものでもないと思う。
そう考えていくと、むしろわたし(ぼく)がほしいのは「ほんとうのゆうき」ではなく自由のほうだ。 この本でいう「かべ」にはいろいろな意味があると思うが、とにかくこの本を読んでよかったなと思うのは、「かべ」の向こうに行くのも行かないのも、すべては自分の意志であるべき、ということが改めてはっきりわかったことだ。 たまたまその辺にいた「空色の鳥」に、「きみはしりたい? みてみたい?」なんて言われてノコノコついていったらその後どんな目にあわされるか知れたものではない。
本を読むとなぜか「本に書いてあることが正しい」と思いがちだし、むしろそう思わせようとする空気さえ感じる。 それこそが一つの「かべ」だということに気づけたので良かったと思う。
これからも、自分をしっかり持って「かべ」がどうだこうだ、などというたわごとに惑わされないように生きていきたい。(1115字前後)
【ポイント】
のっけから全否定でしたが笑、高学年なのでこのくらい思い切ってもいいかなと。
わかりやすい寓話に教訓めいたものを込めた作品がよく読書感想文の課題図書になりますが、それを現実的な目線で一刀両断してみました。
まとめ
読書感想文には一定の「型」があります。今回はそんな「型」のひとつとして、ツンデレ戦法をご紹介しました。
もし、他の本を選んでしまった方や、もうちょっと違うアプローチを知りたい方、あるいは本当に入賞を狙っている人には、「声に出して読みたい日本語」で有名な齋藤孝先生のだれでも書ける最高の読書感想文 (角川文庫)をおススメします。
表現の方法やアイデアのまとめ方、あるいは使ってはいけない表現なども細かく網羅していますので、読書感想文だけでなく、作文全般にも応用がきくので一冊もっておいて損はないです。
この記事が悩める小学生とその親御さんにお役に立てば幸いです。
本日は以上です。最後までお読みいただきどうもありがとうございました!